Ikebana flower experience

“茶花”のいけ方(茶室の中の設②)
前回は茶花とはなんぞやということで話しました。今回はそのいけ方について話したいと思います。茶花のいけ方には、いけ花のように、きまった形があるわけではありません。しかし、いくら自然の姿がよいといっても、鏡花(客の真正面を向いた花)や、客のほうにばかり

葉が向いているのなどはあまりよくありません。たとえそれが咲いたままの姿であっても、もともそんな咲き方は自然ではないからです。いけ方は、いわゆる投入れ/NAGEIREを主として、花や枝をためたり(枝を曲げること)、向きを変えたりすることはさけて、花の持つ自然の姿の美しさを、心をこめて花入にいけます。いけ花のように、根もとを必ずしもそろえる必要もありません。場合によっては、花や枝が留めにくいこともありますが、そのときは根もとに切り目をつけて、小さなようじなどをはさみ、これで花入に留めます。剣山/KENZANは茶花では用いません。剣山を使用すると、花の形が固定された姿となりやすく、作ったおもしろさを求めやすいからです。

茶の湯では、“真行草”ということを重要視します。点前にも、道具にもいわれますが、茶花にもいわれることです。しかし、この格づけは、亭主の心、茶室、道具などの総合的なとり合わせによってできた一応のきまりなので、そのきまりを原則として知り、その上で臨機応変にいけることが大切です。花器に真行草があるように、花のいけ方にも、やはり真行草の形があります。直線的にまっすぐにいけるのは真、横に流れた姿でいけるのを行、投入れのような姿、つる類や懸崖/KENGAIふうにさがった姿を草の花といいます。しかしながら、曲がった枝を、むりにまっすぐにして真にいけることはタブーとされており、必ず花や枝の性質を考えていけます。花のいけ方と花器の間には、真の行とか行の草とか、いろいろ組み合わせができますが、そのこころは、全体の調和と花の自然な姿をいかすことにあります。

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