茶会の中での陰陽五行(陰陽五行③)
茶道での稽古の目的は様々ですか、その一つに“茶事をひとりで行えるようになる”というものがあります。広く世間に知られている茶会は茶事の一部分を切り取ったようなもので、日々の点前の稽古も茶事の一部分を切り取り稽古をしていることになります。正式な茶事は初入り(初座)、中立ち(休憩)、後入り(後座)の3つに分かれています。これにおいて ‛初入りは陰の席’ ‛後入りは陽の席’ とよく言われますが、茶事の構成も陰陽五行の考え方に深く基づいてなされています。陰と陽はれぞれその中でも相対分割を繰り返す・・・という考え方から、
先ず初入りでは大きく見ると炭手前と食事(懐石)に分ける事が出来ます。炭手前は火を盛んにする為の所作で‛陽’と見ます。懐石は現れている物を体の中に取入込む所作で‛陰’となります。実際は炭手前自体や懐石自体のそれぞれの中でも陰陽に分ける事が出来ます。
次に後入りですが、こちらは大きく分けて、濃茶と薄茶に分かれます。濃茶、薄茶の二つに分けた場合は、濃茶=陰、薄茶=陽 という分け方になります。重いものが陰で軽いものが陽。隠れているものが陰、表われているものが陽…etc 見ていくと様々な相対性を見つけることが出来ます。濃茶や薄茶の喫茶の部分は菓子を頂く場面から始まります。陰である濃茶の為の菓子は陰の席(初座)で、陽の薄茶の菓子は陽の席(後座)で頂きますし、更に 濃茶=陰 の為の菓子は生菓子(湿=陰)で、薄茶=陽 の為の菓子は干菓子(乾=陽)であるという事も、陰陽の表れの一つです。