茶道の設えと陰陽五行(陰陽五行2)

Maikoya Kyoto Kimono Tea Ceremony

日本には春夏秋冬と美しい四季がありますが、茶道においては炉の季節と、風炉の季節とに分けることができます。これには陰陽の考えが大きく関って来ています。炉を出す時期は “柚子の色付く頃… ”、風炉に変わるのは “時鳥の鳴く頃” といわれており、“柚子の色付く頃”とは秋から冬に移ろう頃、“時鳥の鳴く頃”とは春から夏に向かう頃のことを意味します。陰陽の世界では秋~冬が“ 陰”で、春~夏が“ 陽 ”です。


前回のblogでお話ししたように‛地下に存在する・・・陰’‛地表に現れている・・・陽’という事になりますので、秋~冬の陰の季節では畳を切った“炉”、春~夏の陽の季節では畳の上の“風炉”、陰の姿 と 陽の姿が表れています 。また、陰陽では、湿潤=陰、乾燥=陽という分け方をしますが、炉(陰)の中には湿った灰(陰)を入れ、風炉(陽)の中の灰は乾いた灰(陽)を使用します。また、お香も炉の季節には湿った‛練り香’を風炉の季節には乾いた‛香木’を使用するのがルールです。


茶道の初期の段階では‛書院台子の茶’と呼ばれる、風炉釜や茶器を書院に飾るスタイルでしたが、その後、台子に飾られるようになり、点茶作法が少しずつ確立していくと共に、台子の中にも陰陽五行の象徴的な配置を表現していくようになりました。台子自体が天板と地板の陰陽、四本の柱が四象、そこに木(杓)と土(風炉)と金(釜)で造られた道具、炭の火と水が収められています。そして、左側に陽の風炉を据え右側に陰の水指を置き、火の上には陰の茶碗、水の上には陽の茶入を置いて、上下左右共に陰陽の相対を保つ姿になっています。そして、炉にもまた炉縁の木・炭の火・炉壇の土・釜の金・釜中の水という様に五行がしっかりと表現されています。また、炉開きにつきましても“旧暦亥の月の最初の亥の日に”といわれています。亥は五行でいえば水にあたり、火を入れる炉には水をそこに置くことで陰陽のバランスを取り、また一方で火に対する祈願でもあると考えられています。