陰陽五行説について(陰陽五行④)
前回までのblogで茶道と陰陽五行についての深い関係性について話してきましたが、今回はそもそも陰陽五行とは何ぞやということで話していきたいと思います。
現在は陰陽五行説として一つに考えられることが多くありますが、元々はそれぞれ陰陽説、五行説という中国の戦国時代においてとても流行した中国古代哲学から成り、後の漢の時代に陰陽五行説として同化して行ったと言われています。
生命の根源であり、宇宙の活力になるものを‛気’といいます。‛気’は陰と陽からなり、この世の全ては陰陽の二気によって成り立ち、世のなかのすべての物事は個々で独立しているのではなく、陰と陽という対立した形で世界ができあがっており、自然界の秩序も保たれているという考え方が陰陽説です。すべて陰陽対立の矛盾性があり、そうした矛盾の中で発展し変化すると考えられています。陰陽説では人間界も陰陽二気の変化に順応して、政治、道徳、日常生活の秩序が保たれていると言われています。そして、人間生活にとっては五行という木火土金水(もくかどごんすい)の五元素が最も重要であり、宇宙のあらゆる事象は五行の五元素の働きによる、、、という考え方が五行説です。中国では各王朝の変遷を五行の推移に見立てて、それまでの陰陽の二気も木火土金水の五行も相互に対立し排斥し合うとする二元論、五元論というだけではなく、相生(そうしょう)と相剋(そうこく)の考え方も説かれるようになりました。相生とは、例えば、木は火を生じ(木が燃えて火となり、木と木が擦り合わされて火となって燃えさかるという関係 )、火は土を生じ(火が燃えたあとには必ず灰が残るという関係)、土は金を生じ(土が集まって山となり、山から鉱物(金属)が産出するという関係)、金は水を生じ(鉱物(金属)は腐蝕して水に帰り、また溶融すれば液体(水)になるという関係)、水は木を生じる(水を養分としといて木が生育するという関係)ということで、相剋とは、例えば、水は火に勝ち(水は火を消す)、火は金に勝ち(火は金を溶かす)、金は木に勝ち(金属は木を切る)、木は土に勝ち(木は土から養分を得る)、土は水に勝つ (土は水の流れをせき止める)という考え方です。
日本の茶の歴史は、最澄が茶の種子を中国より持ち帰った805年に始まります。飛鳥、天平、平安時代の日本の人々のあこがれは中国であり、その都造りも陰陽五行説に基づいた中国のそれを見習ったものでした。その後現在の茶道の姿が確立されるまで、長い年月を経ているわけですが、中国で人々の生活に根強く息づいていた陰陽五行説もその後の茶道の発展に深く影響していったと言われます。