茶事でのルール(茶事③)


【招待する側:亭主】 茶事を行うには、まず、誰を招くかを亭主が決めるのですが、正客(一番メインの客)を決めたら、その人に合わせて、その茶事のひと時を一緒に楽しく過ごすことの出来そうな人々を考えます。


そして1週間くらい前に、それぞれに招待状を出します。招待状内では必ず招待している方々の名前、日時、場所を記しておきます。また、場合によっては、正客だけを亭主側で決め、‛〇名様ご一緒においでください’と、お任せすることもあります。招待状は、正式には筆で書き、封書で出すのですが、現在では略してペン書きのハガキ、電話など様々なスタイルで行われています。茶事に招く人数は少ないほど良いとされており、3~5人を理想としますが、7、8人ぐらいまでは可能火と思います。人数が増えると亭主一人で十分なおもてなしを維持することが難しく、懐石やその他のことにも時間がかかって、全体的に間延びしたものになりやすいです。


【招待される側:客】 招かれた人は、正式には、茶事の前日か前々日に亭主の家に行って、招待のお礼を述べ、必ずお伺いいたしますと感謝を伝えます。これを茶道では“前礼ZENREI”といいますが、現在はわざわざ出向くことはせず、手紙や電話で返事をする人が多いようです。“前礼”で伺った際は、客は家に上がったりはせず、玄関先でお礼を済ませるようにするのがマナーです。


当日の好ましい服装として、着物の場合、男性は十徳JUTTOKU、半徳HANTOKU等の一般的な茶道スタイルをするか、紋付羽織はかまMONTSUKI-HAORI-HAKAMAの正装にします。この時、羽織は室内では脱ぎます。洋服でも構いませんが、あまり派手ではないものを選び、かといってジーンズなどのカジュアルすぎるものは避けます。女性は紋付か無地のものを選びます。茶道は“わびWABI"をもととしているのですから、服装はあまり派手でない方が良く、指輪、ネックレス、金の帯どめ等のアクセサリー、香水などは身に着けない方が良いです。宝石や金属類は茶碗などの道具をきずつけるおそれもある為、必ず外しておきます。また、香水などをつけると、茶室に焚いた香の心遣いが台無しになってしまいます。


茶事に伺う際の持ち物としては、替え足袋(替え靴下)・・・外を歩いた足袋で茶席に入るのは失礼に当たる為清潔なものに履き替えます。扇子、懐紙1帖・・・懐紙とは懐に入れて携帯するための小ぶりで二つ折りの和紙のことで、始まりは平安貴族といわれており、メモ用紙、ハンカチ、テッシュ、便箋などの様々な用途で使われています。男性用と女性用ではサイズが異なり、男性用は一回り大きく、和菓子などの下に敷いてあるなど普段よく見るものは女性用のサイズになります。30枚で1帖JOUとなっており、通常はこの単位で持ち歩きます。帛紗FUKUSA・・・通常はお点前の際に使いますが、出された道具を拝見する際などにも使用する為、茶道の際は必ず持参します。古帛紗KOBUKUSA・・・濃茶を頂く際、道具を拝見する際等に使用します。茶巾CHAKIN・本来は麻で出来た布で、濃茶を頂いた後、茶碗を拭く際に使用します。現在は紙で出来た物もあります。いずれも事前に湿らせて持参します。袖落としSODEOTOSHI・・・懐石を頂いた際に出た残り物等のゴミを持ち帰るための袋のことです。